私は過去に、いわゆる大手の不動産会社で客付けの仕事を約10年していました。
現在では管理戸数が日本トップクラスと言われるような会社で、家賃保証やサブリースといった仕組みを扱う会社です。
その経験から感じていることがあります。
それは、不動産管理会社に任せていると家賃が下がる構造があるということです。
もちろんすべての会社がそうとは言いませんが、業界の仕組みとしてそうなりやすい部分があるのも事実です。
今回はその理由を、現場の感覚から少しお話ししてみたいと思います。
サブリース会社にとって重要なのは空室率と空室期間
サブリースや家賃保証をしている会社にとって重要なのは
空室率と空室期間、この2つです。
なぜこの2つが重要かというと、サブリースの仕組みに理由があります。
私の知っている範囲で言うと、サブリースというのは、だいたいオーナーに対して
実際の募集家賃の80%〜90%程度の金額で借り上げる
という仕組みになっています。
つまり会社側は
・10%
・15%
・20%
このあたりの差額の中から利益を出しています。
この差額の中には
・管理料
・家賃保証の原資
・広告費
・会社の利益
などが含まれています。
会社によってはさらに、空室時の原状回復費用や修繕費なども、この中から支払っているケースがあります。
オーナーにとっては「何もしなくていい」仕組み
逆に言うと、こういった大手のサブリース会社に任せているオーナーは
・通帳を見る
・報告を聞く
これだけで、基本的に管理のことを考えなくてもいいというメリットがあります。
いわば
完全に任せられる仕組み
です。
ただ、その代わりとして
家賃の10%〜20%程度の利益を会社に持っていかれる
構造になっています。
空室が長くなると会社側は赤字になる
問題はここからです。
サブリースの場合、空室でもオーナーには家賃を払い続ける契約になっています。
つまり
入居者から家賃が入らないのに、オーナーには家賃を払う
という状態になります。
これが長く続くと、会社側は赤字になります。
そのため会社としては
家賃を下げてでも、早く決めないといけない
という判断になります。
空室率のデッドライン
会社によって多少違いますが、だいたい
空室率4%前後
このあたりがデッドラインになっているケースが多いと思います。
このラインを超えると会社としての収支が悪くなるため、現場の担当者は
とにかく部屋を決める
という方向に動きます。
その結果どうなるかというと
オーナーの利益より会社の空室率が優先される
という状況が起きます。
客付け担当としては
・空室を減らす
・会社の利益を守る
これが仕事なので、オーナーの家賃を守るという発想はどうしても後回しになりがちです。
空室を埋める一番簡単な方法
では、空室を埋める一番簡単な方法は何でしょうか。
それはシンプルです。
同じエリアの中で、同じような築年数で、同じような間取りの物件の中で一番安い家賃をつけることです。
賃貸市場というのは、ある程度需要のパイが決まっています。
例えば奈良と大阪は隣接していますが、家賃の問題で
「大阪より奈良に住もう」
という人もいます。
つまり、限られた入居者の取り合いになっているわけです。
その中で早く決めるには
・家賃を下げる
・条件を良くする
これが一番手っ取り早い方法になります。
リフォーム費用も大きな問題
もう一つ、家主業が儲からないと言われる理由があります。
それはリフォーム費用です。
管理会社を通して工事を依頼すると
・管理会社
・下請け業者
という構造になります。
すると、本来100万円でできる工事が
200万円近くになるケース
もあります。
もちろん利益を取ること自体は仕事なので当然ですが、それでもかなり差が出ることがあります。
家賃5万円の100万円は重い
例えば家賃5万円の物件で
100万円の工事をした場合
回収には約2年かかります。
もし工事費が200万円なら
4年かかることになります。
この差はかなり大きいです。
こうしたことが積み重なって
「家主業は儲からない」
と感じているオーナーは多いのではないかと思います。
本来は家賃を守る経営が大事
ただ、現場を知っている人間からすると、少し違う視点もあります。
例えば、多少空室期間が伸びたとしても
家賃を1万円アップして決められる状況
であれば、家賃を上げて決めた方が良いケースも多いです。
なぜなら、家賃が上がると
利回りが上がる
からです。
不動産は最終的に売却することもありますが、その時、投資物件の場合は
利回りで価格が決まる
ことが多いです。
つまり家賃が高いほど
売却価格も上がる
ということになります。
短期的に空室を埋めることだけを考えるのではなく
・家賃水準
・利回り
・将来の売却価格
ここまで考えて経営していくことが大事だと感じています。


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