日本の相続税はなぜ厳しいのか
日本では「相続税は三代で財産を食いつぶす」と言われます。
背景には 高い税率と低い基礎控除 があります。
- 最高税率:55%(世界でもトップクラス)
- 基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数
→ 子ども2人なら4,200万円までが非課税だが、都市部の土地を持つ家庭はすぐ対象になる。
海外との比較
- アメリカ:最高40%、基礎控除は約19億円 → 富裕層のみ課税
- イギリス:最高40%、基礎控除約6,000万円+住宅控除あり
- ドイツ:子どもへの相続は最高30%、基礎控除約6,000万円
- フランス:最高45%、基礎控除は約1,600万円
👉 日本は「一般家庭でも課税対象になりやすい」という点で、他国と大きく異なります。
アパート経営が節税対策になる仕組み
大手サブリース管理会社などが提案するアパート経営は、以下のような仕組みで相続税評価を下げられます。
- 資産評価額の圧縮
- 建物評価は時価の6〜7割程度
- 土地は「貸家建付地」として20〜30%減額される場合あり
- 借入金を負債計上できる
- 現金で持つより、借入+アパート建築に変えた方が評価額を減らせる
👉 これにより「現金で相続するより安くなる」ため、相続税対策として利用されてきました。
現場で多い不満と失敗
しかし、相続税対策だけを目的にしたアパート経営は、オーナーにとって不満や後悔の種になるケースが少なくありません。
- 「家賃は右肩上がりになる」「海外旅行に行けるくらい収益が出る」といった営業トークと現実のギャップ
- 農地を持つ地主など、経験のない人が知識ゼロで参入してしまう
- 修繕費・原状回復費・広告料・リフォーム代などが積み重なり、収益がほとんど残らない
結果として「節税はできたが、経営は赤字」という声は少なくありません。
現状困っているオーナーがまずやるべきこと
もし既にアパート経営をしていて「儲かっていない」「キャッシュフローが出ない」という状況なら、次の改善策を取ることが重要です。
① 金利の見直し
- 30年前の高金利のまま借入を続けているケースも見られます。
- 家賃は下がっているのに金利はそのままではキャッシュフローが生まれません。
👉 金利の低い金融機関に借り換えるだけで改善できる場合があります。
② リフォーム費用の見直し
- 管理会社任せにせず、必ず3社以上で相見積もりを取る
- 管理会社経由だと20%上乗せどころか、倍以上の利益を取られているケースもある
👉 自分でリフォーム業者を探すことがコスト削減の第一歩です。
③ 客付けの仕組みを変える
- 管理会社や仲介会社が「自社で客付けすること」にこだわり、家賃を下げられることが多い
- 広く市場に出すためには、レインズ(不動産業者間の物件情報ネットワーク)に流してくれる管理会社を選ぶべき
👉 「広く募集してくれるかどうか」で入居スピードも利回りも大きく変わります。
まとめ
- 日本の相続税は海外に比べて厳しく、アパート経営は相続税対策として有効に見える
- しかし実際は営業トークと現実のギャップに苦しみ、不満を抱えるオーナーも少なくない
- 既に困っているオーナーは、まず 金利の見直し・リフォーム費用の透明化・客付けの仕組み改善 を行うことが重要
次回予告
次回のブログでは、さらに踏み込んで 「不動産オーナーが本格的に取るべき相続対策」 を解説します。
具体的には、
- 法人化による資産承継
- 生前贈与を活用した財産移転
- 保険活用による納税資金対策
などを詳しくご紹介します。
👉 「現状の改善」から「未来の備え」まで、一歩ずつ整理していきましょう。


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